パニック障害
パニック障害について詳しく解説します
どんな病気か
パニック障害は、特別な理由がないのに、突然、強い不安感とともに激しい身体症状(動悸、息切れ、めまい、発汗、吐き気など)に襲われる「パニック発作」を繰り返す病気です。
発作自体は通常数分から長くても1時間以内におさまりますが、発作の恐怖は非常に強く、「死んでしまうのではないか」「気が狂ってしまうのではないか」と感じることもあります。そして、「また発作が起きたらどうしよう」という強い不安(予期不安)が常に付きまとうようになり、発作が起きそうな場所や状況(例:電車、人混み、閉鎖空間など)を避ける行動(広場恐怖)が見られるようになることもあります。
これらの症状によって、日常生活や社会生活が大きく制限されてしまうことがあります。不安障害の一種に分類されます。
主な症状
パニック障害の主な症状は、「パニック発作」「予期不安」「広場恐怖」の3つです。
1. パニック発作
突然、理由なく強烈な恐怖感や不快感とともに、以下のような身体症状や精神症状が急速に(通常10分以内にピークに達する)現れます。
- 動悸、心拍数の増加
- 発汗
- 体の震え
- 息切れ感、息苦しさ、窒息感
- 胸の痛み、不快感
- 吐き気、腹部の不快感
- めまい、ふらつき、気が遠くなる感じ
- 寒気、または熱感
- 感覚の異常(しびれ感、うずき感など)
- 現実でない感じ(現実感消失)、自分が自分でない感じ(離人感)
- コントロールを失うことへの恐怖、狂ってしまうのではないかという恐怖
- 死ぬのではないかという恐怖
重要: これらの症状は非常に苦しいものですが、パニック発作自体が命に関わることはありません。ただし、心臓病など他の身体疾患との区別が必要な場合もありますので、初めて経験した場合は内科等への受診も検討してください。
2. 予期不安
パニック発作を経験すると、「またあの苦しい発作が起きるのではないか」という強い不安が続くようになります。この予期不安のために、常に緊張していたり、びくびくしたりする状態になります。
3. 広場恐怖
「もし発作が起きたら、すぐに逃げられない場所や、助けを求められない状況にいるのが怖い」と感じ、そのような場所や状況を避けるようになることがあります。これを広場恐怖(agoraphobia)と呼びます。具体的には、以下のような場所や状況が対象となりやすいです。
- 公共交通機関(電車、バス、飛行機など)
- 広い場所(駐車場、広場、橋の上など)
- 囲まれた空間(映画館、劇場、店、エレベーターなど)
- 行列に並ぶこと、人混みの中にいること
- 一人で外出すること
広場恐怖が強くなると、外出が困難になり、引きこもりがちになることもあります。
原因
パニック障害の原因は一つではありませんが、脳内の神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリンなど)のバランスの乱れや、脳の特定の部位(特に不安や恐怖に関わる扁桃体など)の機能異常が関係していると考えられています。
また、ストレス、過労、睡眠不足などが発症のきっかけとなることがあります。遺伝的な要因も関与する可能性が指摘されています。カフェインやアルコールの摂取が発作を誘発することもあります。
治療について(当院でのアプローチ)
パニック障害は適切な治療によって改善が期待できる病気です。主な治療法は薬物療法と精神療法です。あべメンタルクリニックでは、患者さまの状態や希望に合わせて、最適な治療法を一緒に検討していきます。
- 薬物療法: パニック発作を予防し、予期不安を軽減するために、抗うつ薬の一種であるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などが主に用いられます。効果が現れるまでに数週間かかることがありますが、継続して服用することで効果が期待できます。また、発作時の強い不安を抑えるために、即効性のある抗不安薬(ベンゾジアゼピン系など)を頓服として使用することもありますが、依存性に注意が必要なため、医師の指示に従って必要最低限の使用にとどめます。
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精神療法(心理療法): 薬物療法と並行して行うことで、より高い治療効果が期待できます。代表的なものに認知行動療法(CBT)があります。
- 心理教育:病気について正しく理解し、発作は危険なものではないことなどを学びます。
- 認知再構成:パニック発作や予期不安に対する破局的な考え方(例:「このまま死ぬかもしれない」)を、より現実的で適応的な考え方に修正していきます。
- 曝露療法(エクスポージャー):避けている場所や状況に、不安が少ないものから段階的に挑戦し、不安に慣れていく練習をします。身体感覚(動悸など)に対する曝露(インターセプティブ・エクスポージャー)も行われることがあります。
- リラクゼーション法:呼吸法や筋弛緩法などを学び、不安や緊張を自分で和らげる方法を身につけます。
治療には根気が必要ですが、焦らず取り組むことが大切です。カフェインやアルコールを控えるなど、生活習慣の見直しも回復に役立ちます。
突然の動悸や息苦しさ、予期せぬ不安に悩んでいませんか?
理由なく突然起こるパニック発作や、「また発作が起きたらどうしよう」という不安、特定の場所を避けてしまうなどの症状でお困りの方は、パニック障害の可能性があります。ぜひあべメンタルクリニックにご相談ください。
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